ヴィデオ・スタアの登場で,地に落ちたラジオ・スタア。だが,IPの魔法のローブを身にまとい,彼は甦った。その彼に,また起きる悲劇。だが,この悲劇は終わりの悲劇ではない。彼,が大成功するための,サクセス・ストーリーの一節に過ぎない。
私は今,愛用のインターネットラジオチューナー「カルバンゴ」の死を座して待っている。製造元の3コム社が,同製品のスタッフをレイオフし,同製品のラジオ検索エンジンも閉鎖されるだろう。インターネットラジオは数が多く,商業的に苦しい時期にあるが,それは成長痛とも考えられる。いつの日か,地上波ラジオが近づくことができない主流メディアになるはずだ。
ちょっ前から伝えられていたニュースだが(Pierre Design Newsの記事),カルバンゴのラジオ検索エンジンをiTunesやサウンドジャムMPが利用しているだけに不安をあおるものだった。まぁ同様のディレクトリ型ラジオ局登録を提供しているところはあるので,そっちへ乗り換えとなるだろう。どうせならiTunesはオフライン楽曲の絞り込み用に設けてある検索窓を利用して,LIVE365.comのようなオンラインラジオ局のフリーワード検索ができるようにしたらいいのにとも思ってしまうが(どうせラジオ聴くとはオンラインなんだし)。
記事タイトルは誤解を招きそうだが,ネットラジオ自体に悲劇の面影はみえない。個人が無料でラジオ局を開設できるLIVE365.comをみると(過去記事),わずか1カ月でラジオ局数が3万0,235→3万3,025に,曲目数は8760万→1億220万に増大している。1日ごとに,新しく100のラジオ局が曲を流し始める世界。そんな中で,音楽業界がわめいているような商業音楽の崩壊が起きるわけがなく,その需要をいかに商業的価値へと結びつけていくかの努力が足りないだけだ。すべてのラジオは無線IPで接続される時が来る。すべての人が,彼,を求める。カルバンゴの悲劇は,乗り越え,次へと向こう,サビの前の静かな一小節でしかない。
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